国に「核兵器禁止条約」への署名・批准を求める意見書採択についての請願に対し、反対討論をしました!
任期最後の年度は、民生文教常任委員会の所属となりました。
今日の委員会では市長提出議案の審査が行われ、すべての議案が採決すべきものと決しました。
また、国に「核兵器禁止条約」への署名・批准を求める意見書採択についての請願についても審査が行われ、不採択となりました。
今日の請願について触れてみたいと思います。
核兵器禁止条約は昨年2017年7月に国連で採択された条約で、
50カ国が批准することにより90日後に発効しますが、
2018年5月17日までに合計10カ国が批准しています。
今回の請願内容は、市議会として政府及び国会に「核兵器禁止条約」への署名・批准を求める意見書を提出することを求めています。
日本は世界で唯一の被爆国でもあり、
核兵器のない世界の実現に向けて大きな役割を果たして行く事が求められ、
核兵器廃絶に向けてさまざまな行動を取ってきています。
国連で採択された核兵器禁止条約に対し、
日本政府は慎重な立場をとり、
実際の核保有国からの賛同が得られていない現状から、
核保有国と非保有国の対立を一層深め、亀裂を深めかねないと考え、
不参加・署名しない・調印しないという判断に至っています。
核兵器の廃絶については、
これまでもNPT(核拡散防止条約)を維持しながら核軍縮に取り組む対応として
CTBT(核兵器の包括的核実験禁止条約)
FMCT(兵器用核分裂性物質生産禁止条約)
が進められて来ました。
今回の核兵器禁止条約以前に、これらの条約への参加が先決ではないかと言われています。
現在、日本はアメリカの核の傘のもとで安全保障政策を行っており、
核の傘によるアメリカの抑止力が働いていることは、
多くの人がその認識を共有しているのではないでしょうか。
当条約への参加はその安全保障政策と矛盾した主張になりかねません。
ドイツやオーストラリアなどのNATO諸国が条約参加を見送ったのも
日本と同じく、核の傘のもとでの安全保障体制を構築しているからだと言われています。
そのような事をふまえると、
日本が核兵器禁止条約に参加するということは、核兵器国に対立をあおる事になるかもしれません。
本来唯一の被爆国として核兵器国と非核兵器国との橋渡しをすべき日本が、
逆に対立を生み、核廃絶に対して逆効果になることが危ぶまれるのです。
核兵器のない世界の実現、核兵器廃絶という願いは請願者と同じ思いですが、
安全保障上の現状から日本の当条約への参加は難しいということ、
また、本当に意義ある事なのかを考えた結果の不参加であることを、
しっかり把握すべきではないでしょうか。
日本政府がどのような意図に基づき判断をしたのかを理解しようともせず、
反対し、批判する姿勢を見るにつけ、残念に思われてなりません。
今後、一歩ずつでも核兵器国全体で軍縮を進めていき、
それが限りなく小さな段階になって初めて核兵器禁止が現実化するものではないでしょうか。
被爆された方々の思いに応えるためにも、
日本政府はその努力を行っていかなければならないと考えます。
以上の事から、
現段階では核兵器禁止条約は、核兵器のない世界の実現に直ちに結びつくとは考えにくいため、
本請願については採択とすることに反対しました。